マンションを購入するなら「管理規約」に注目しよう!
初めてマンションを購入する人にとって、「マンションは共同生活」と言われてもピンと来ないかもしれません。
特に新規の分譲マンションは建物が出来上がっていない状態で購入することも多く、目に見えるものは専有部分(購入する部屋)のモデルルームとパンフレットくらいでしょうか。
しかし、実際は土地部分(敷地や共有部分)も購入していて、他の購入者とともに「共有」することとなります。
実際に引越しして生活が始まると、共同生活をしているという実感が出てきます。
周囲の生活音やゴミだし、駐車場の出庫待ちなど・・・。
多くの人と1つの建物の中で共同生活をするわけですから、日常生活ができるだけストレスなくスムーズに過ごせるようにしたいものです。
通勤や通学、買い物などの利便性や立地については最初から十分な検討をしていると思いますが、スムーズな生活のためにはマンション内のルールを確認することを忘れてはいけません。
そのためには、「管理規約」を徹底的に確認することをお勧めいたします。
今回は新規分譲マンションの場合と中古マンションに分けてその注意点をご紹介いたします。
このページの目次
新規分譲マンションの場合
新規の分譲マンションの場合、「実績」が見えません。
また、これからどのようなトラブルが起こるのかも分かりにくいのが現実です。
最低限チェックしておきたい項目をご紹介しますので、是非確認してください。
1、管理会社の選定
初年度は総会によって決めるということが出来ませんから、管理会社はあらかじめ決まっています。
インターネットでは、管理会社のホームページで「経験」や「実績」を見ることで、大まかに確認できます。
過去に管理しているマンションの管理費を横領したなどというトラブルが無かったかも調べておきましょう。
また、最近では「管理会社受託戸数ランキング」や「管理会社満足度ランキング」なども見れますので参考にしてください。
2、管理規約の初年度の取り扱い
「管理規約」は初めてマンションを購入される方にはなじみがないかも知れません。
簡単に言うと、1つの建物に多くの権利者(区分所有者)が存在するので、その権利関係を明確にし、全体としての共同の利益を害する行為が無いように管理規約でルールを決めているのです。
「区分所有法」という法律で細かな規定がされており、管理規約を制定することを事実上義務付けていますが、国土交通省では「標準管理規約」の形で具体的な指針を示しています。
平成28年に国土交通省は「マンションの管理の適正化に関する指針」の改正を行い、平成29年8月29日に最新版の標準管理規約がホームページで示されています。
これから購入する新規分譲マンションの管理規約は、この標準管理規約が基本になっていると思います。
管理規約に定められている内容は基本的に下記のような内容です。
この内容は、実際に管理組合や理事会が活動を始めた後、総会において特別決議(区分所有者の4分の3以上の出席かつ議決権の4分の3以上)で可決すれば(かなりハードルが高い)変更することが可能です。
購入時にチェックすべきは総会を経ないで制定されている「初年度」の取り扱いです。
最初に制定されている管理規約は、住民の意思とは関係なく出来上がっています。この初年度の取り扱いは必ずチェックしましょう。
「初年度の取り扱い」自体の記載が無いなどは論外ですが、下記の項目は特にチェックしましょう
- 管理費の設定(別表として各部屋ごとに示されている)
- 修繕積立金の設定(別表として各部屋ごとに示されている)
- 初年度予算
- 初年度の損害保険契約
- 地域の自治会、町内会への加入
- 共有部分の範囲
などです。
上記の内容は、サラッと読んでしまうと分かりませんが、特に「管理費」「修繕積立金」が最初に安く設定されていた場合、後から大幅に値上げしないと実際の管理や修繕ができなくなってしまうことがあります。
たとえば、「大規模修繕」は15年後に実施するとして、全体の金額を15倍したときにどれほどの金額になるのかイメージしておいてください。
3、使用細則の設定
管理規約にもとづいて、規約とは別に作成される「共同生活において上の詳細なルール」のことを「使用細則」といいます。
「使用細則」は管理規約とは違い、普通決議(総会において議決権の半数以上の出席かつ出席者の過半数)で可決します。
どういう内容が「使用細則」として規定されているかはマンションによりますが、一般的には次のような内容が記載されていることが多いです。
- 禁止される事項(物の放置・共用部分に係る工事など)
- 管理組合に届出を必要とする事項(入居者の変更・専有部分の賃貸など)
- 駐車場・駐輪場・専用庭の使用に関する事項
- ゴミ処理
- 違反者に対する措置
ただし、マンションの生活上のルールを全て「使用細則」に制定する必要はなく、より細かく細則を設定することがあります。
特に「ペット」や「駐車場・駐輪場」については別途細則が制定されていることが多いので、よくチェックしましょう。
中古マンションの場合
中古マンションは何といっても「実績」が見えるので、その気になれば非常にチェックがし易いです。
正直申し上げて、「希望に沿った生活スタイルを求める」物件を探すのであれば「中古マンション」はとてもお勧めです。
特に今回ご紹介しているような「管理規約」については、マンション管理組合の「活発度」や「管理レベル」がしっかりと現れます。
新築マンションとは違い、現状を見て、聞いてチェックすることができるので最大限の注意を払って確認しましょう。
1、管理会社
前述したように管理会社は分譲開始時に決まっています。しかし、その管理会社がマンションの管理・維持・運営にとって良いかどうかはわかりません。
「管理」はマンションの「資産価値」に大きく影響しますから、「管理のプロ」である管理会社がしっかりしていないとドンドン資産価値を下げてしまいます。
「管理会社」の変更は「普通決議」で出来るため、理事会が本気になれば低いハードルで変更できます。
ホームページでの確認や「管理会社ランキング」を参考にすることはもちろん、後述する管理規約、細則の制定・変更にしっかりとしたアドバイスが出来ているかどうかも確認しましょう。
2、管理規約の見直し
前述したように、管理規約の変更は特別決議(区分所有者の4分の3以上の出席かつ議決権の4分の3以上)という高いハードルですが、
5年も10年もまったく変更がないのは問題があります。
前述したものと同じ表ですが、管理規約に記載されているのは基本的に下記のような内容です。
一見、普遍的な内容で変更することころは見当たりません。
しかし、「新たな細則の制定」や「会計」「役員の選出」「災害時の対応」など「居住者の年齢の変化」や「防犯」といった、時代が抱える問題への対応が早急に行われなければならない中で、全く変更がないのは不自然です。
この場合、「管理会社や理事会が全く対応していない」パターンと「理事会は真剣に考えているが、総会決議のみを行って規約を改訂していない」の2つのパターンがあります。
管理規約の変更がされていない場合には「総会議事録」を確認させてもらいましょう。(不動産業者に依頼することも可能です)
2、使用細則など細則の制定、見直し
使用細則を含む「細則」は共同生活上のルールですから、しっかりと確認しましょう。
特にペットを飼いたいという方は、ペットの大きさ、頭数、届出など詳細な規定があるはずですので良く確認しましょう。
細則の制定ですが、やはり、5年も10年も新規制定もされず、変更もされないのは不自然です。こちらも「管理会社や理事会が全く対応していない」パターンと「理事会は真剣に考えているが、総会決議のみを行って規約を改訂していない」の2つのパターンがあります。
今の時代を考えると次のような規定がされているマンションはしっかりと活動されていると思います。
- 大災害に対応する緊急時対応細則
- 民泊に関連する細則
- 個人情報保護に関する細則/li>
話題も最近のものが多く、理事会が機能していないとテーマになりません。
ただし、全てが出来ている必要はなく、「現在検討中」は十分のレベルにあると思います。
現実には情報収集と区分所有者の多数合意に時間がかかるものばかりです。
また、使用細則を含むルールがある場合、確認できる範囲で「ちゃんとルールが守られているマンションか?」をしっかりチェックしましょう。
「ゴミ出し」のトラブルは非常に多いので、ゴミ出しのときに見に行くと分かり易いかも知れません。
このページのまとめ
簡単にこのページのポイントを書いてみました。
- 1、マンションの購入時には管理規約を確認しよう
- 2、細則は生活のルール。しっかり制定されているマンションを購入しよう
- 3、新築の時から5年も10年も規約や細則に変更がないのは不自然
- 4、ルールを守る住民かどうかも確認しておこう