マンション管理組合必見!すぐに見直すべき管理規約のポイント

昔から「マンションは管理を買え!」と言われています。

日頃からマンションの「資産価値」を維持、向上するために、マンション管理組合の理事をなさっている方は、本当にご苦労が多いと思います。

世の中の流れが目まぐるしく変わっていく中で、毎年検討する内容が複雑になり対応も大変だと思います。

私(案内人)も理事として2年の任期を2回(合計4年)体験しましたが、労力は大変なものでした。さらに、諮問委員会などでも4年。結構頑張っています。

しかし、当サイトの案内人が住むマンションは管理組合の活動が非常に活発で、全員が協力的です。私のように理事で無いときも理事長の依頼で委員会などの参加をしてくれる所有者がたくさんいます。
おかげで、築18年のマンションですが「資産価値」は新規分譲時点から全く下がっていないどころか少し上がっています。

長年住んでいる人が多いので「全体の高齢化」の問題はありますが、売却時にはすぐに売れてしまうのでここ数年は子供を持つ若い居住者も増えて世代交代も上手く行きそうです。

はっきり申し上げて5年も10年も管理規約や細則が、改訂も新規制定もされていないのは異常事態です。

「改訂はされていないが、理事会で検討し総会承認は取っている」という理事もいらっしゃるでしょう。

では、新しく購入される方はどうやってそれを知るのでしょうか?

新しく購入したい方が「このマンションはちゃんと色々なことに対応していて、ルールもバッチリ。住んでいる人も協力的みたいだし買いたい!」と思うことが「資産価値」そのものなのです。

自分たちが安心で安全に生活する体制を作ることはもちろんですが、ほかの人に「買いたい!」と思わせることは「マンションの価格を上げる」最大の要因です。

今回は最低限対応していなければならない「管理規約」や「細則」のポイントをご紹介いたします。

マンション標準管理規約の改正

重要ポイント!
平成28年3月14日、国土交通省は「マンションの管理の適正化に関する指針」及び「マンション標準管理規約」の改正をしました。
少なくとも、新規分譲マンションではこの「標準管理規約」をもとに管理規約を作成しているはずなので、現状で対応できていない場合は「時代に遅れている」と取られても仕方ありません

ちなみに、国土交通省のホームページにある「マンション標準管理規約」の最新版は平成29年8月29日付となっています。
総会で組合員に問題提起されないように、知識としてもしっかり持っておきましょう。

標準管理規約に関する改正のポイント

ここでは、すぐに対応するべき改正のポイントとして4点のみご紹介いたします。
是非、皆様がお住まいのマンションの管理規約と比較しながら比較してみてください。

    改正のポイント

  1. 民泊についての対応(用法)
  2. 民泊については、「外国人の宿泊が増えるとルールが守られなくなり不安」「不特定多数の人が出入りするので防犯上不安」という居住者もいらっしゃると思います。全体の秩序が守られるようにしっかりと規定するべきだと思います。

    〔※住宅宿泊事業に使用することを可能とする場合、禁止する場合に応じて、次のように規定〕
    (ア)住宅宿泊事業を可能とする場合
    (専有部分の用途)
    第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
    2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。

    (イ)住宅宿泊事業を禁止する場合
    (専有部分の用途)
    第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
    2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。

  3. 暴力団の排除
  4. 暴力団の排除については警察が非常に力を入れています。この条項の対象は「暴力団への貸与」となっています。
    では売買が行われた場合はどうなのでしょうか?
    実際は「不動産の売買基本契約書の標準契約書」が既に国土交通省で改訂されており、反社会勢力へ売買した場合のペナルティーなどは莫大なものとなっています。

    不動産業者も簡単に仲介できない状況になっており、歯止めは効いていると考えられます。

    〔※専有部分の貸与に関し、暴力団員への貸与を禁止する旨の規約の規定を定める場合〕
    (暴力団員の排除)
    第19条の2 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、前条に定めるもののほか、次に掲げる内容を含む条項をその貸与に係る契約に定めなければならない。
    一 契約の相手方が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第六号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)ではないこと及び契約後において暴力団員にならないことを確約すること。
    二 契約の相手方が暴力団員であることが判明した場合には、何らの催告を要せずして、区分所有者は当該契約を解約することができること。
    三 区分所有者が前号の解約権を行使しないときは、管理組合は、区分所有者に代理して解約権を行使することができること。
    2 前項の場合において、区分所有者は、前項第三号による解約権の代理行使を管理組合に認める旨の書面を提出するとともに、契約の相手方に暴力団員ではないこと及び契約後において暴力団員にならないことを確約する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。

  5. 災害時の対応
  6. 東日本大震災から5年以上経過しました。
    地震を含む「大規模災害」に関するマニュアルやルール作りが全くされていないのは大問題です。

    仙台市では、被災したマンションの詳細なデータの収集や分析をもとに、「防災マニュアルの手引き」を作成しています。
    この中にはマンションという生活にとても便利な建物が一転して不便な状況を作りだした原因や、コミュニティー形成がうまく行っているマンションでの成功例など大変勉強になる内容が記載してあります。

    また、ほかの自治体でも東日本大震災以降、同様のマニュアルを作成しています。

    下記のような管理規約の1条項にとどまらず、詳細な「緊急時細則」と「災害時マニュアル」でしっかりとしたルール作りをすることをお勧めします。

    大災害はいつ起こるかわかりませんので早急に対応すべきです。

    第21条の6 理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる。

  7. 外部の専門家の活用
  8. マンション居住者のコミュニケーションが非常に上手く行っており、住民の中に色々な専門家の方がいらっしゃる場合はそれほど問題ではありませんが、「居住者の高齢化により、理事のなり手がいない」とか「長年、管理会社に任せすぎてどこから手をつけていいかわからない」という状況であれば、専門家の活用をお勧めします。

    〔※外部専門家を役員として選任できることとする場合〕
    第35条の2 理事及び監事は、総会で選任する。
    3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
    4 組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める。

 

重要ポイント!
なお、外部の専門家を活用する場合を想定して、役員としての不適格者の排除や業務運営の適正化を図るため、

  • 「役員の欠格条項」(第36の2)
  • 「利益相反取引の防止」(第37条の2)
  • 「監事の権限の明確化」(第41条)
  • 等の規定が追加されています。

    個人情報保護法への対応

    国土交通省の「標準管理規約の改定」には含まれていませんが、2017年5月30日に改正個人情報保護法が全面施行され、マンション管理組合も「個人情報取扱事業者」の対象となりました。

    基本的には

    1. 居住者名簿
    2. 防犯カメラの映像

     
    が個人情報保護法の対象となります。

    最近では「個人情報保護法のために居住者名簿が作れない」といった管理組合もあるようですが、私個人としては「権利の乱用」以外のなんでもありません。
    「嫌なら出て行け!」と言ってもいいくらいだと思っています。

    その理由は、「災害時マニュアル」などを作った場合、「特定の居住者は対象としない」など出来ないからです。

    私自身も「緊急時対応細則」「災害マニュアル」の作成をしましたが、丁寧な説明と厳格な取り扱いルールを作成することで反対者は1人もいませんでした。

    災害マニュアルは色々な場面を想定しなければならないので、情報収集も含め2年ほどかかりましたが、絶対にやっておくべきです。

    そのために「居住者名簿」は不可欠なのです。

    さて、個人情報の取り扱いは管理会社とのすり合わせが不可欠です。

    理事会が直接居住者の情報をとることはまずありません。

    従って、理事会は業務を委託している管理会社に対する「監督責任」を負うことになります。

    また、「防犯カメラの映像」についてはマンションで起きた犯罪について警察等へ提供するにはそれほど反対は起きないと思います。

    しかし考えておかなければならないのは「近隣で起きた犯罪のために、防犯カメラの映像を提供して欲しい」と依頼があった場合です。

    実は、法律的には、警察の捜査に協力する必要がある場合に個人情報を提供しても、個人情報保護法で禁止する個人情報の第三者提供に該当しないのです。
    しかし、映像には何が写っているか分かりません。本人が知らないうちに勝手に情報提供されては気持ちが良くありませんよね。

    本人から、取得した個人情報を「開示」「訂正」「利用停止」するよう求められた場合は適切に対応する必要があるのも事実です。

    ルール作りには十分な情報収集細心の注意が必要です。

    しっかりした管理会社なら、自社の管理方法、管理している他のマンションの事例など様々な情報を提供してくれるはずです。

    まだ対応していない管理組合であれば、早急に検討するべきだと思います。

    「細則」を活用しよう

    「管理規約」と「細則」は基本的な役割が違います。
    「管理規約」は「1つの建物を所有する多くの区分所有者の権利関係」について記載するもので、「使用細則」を含む「細則」はその細かなルールが記載されています。

    可決数も条件が違い、「管理規約」は総会において特別決議(区分所有者の4分の3以上の出席かつ議決権の4分の3以上)で可決し、「細則」は普通決議(総会において議決権の半数以上の出席かつ出席者の過半数)で可決します。

    従って、その時に柔軟な変更が必要だと予想されるものは管理規約に「・・・については○○細則に従う」などの記載をして、細則で対応するべきだと思います。

    当サイトの案内人の住むマンションでは「使用細則」以外に細則が7つもあります。

    「ごちゃごちゃするのでは?」と思うかもしれませんが、管理規約がシンプルになり、特定の事項について「細則」にまとめて細かく規定されているので非常に読みやすい構造になっています。

    「管理規約」を改定する場合は柔軟に対応できるよう、体系的に「細則」の策定をすることをお勧めいたします。

    継続的に検討・改定される仕組みづくりをしよう

    さて、せっかく策定し総会もどうにか突破した「管理規約」や「細則」ですが、
    見直しが何年もされないのでは全く意味がありません

    特に、「緊急時・災害時の対応細則」や「個人情報保護に関する細則」などは、どこかで新たな災害が起こったり、技術の進歩によって情報の扱いが変わることも想定されます。

    アイデア次第ですが、「細則」の中に「理事会は、定時総会において必ず理事会で検討した内容を報告しなければならない」と規定してしまうのも良いと思います。

    理事会は大変になりますが、
    陳腐化を防ぐためにも定めておく方が良いのではないでしょうか?
     

    このページのまとめ

    簡単にこのページのポイントを書いてみました。

    • 1、管理規約は定期的に見直そう
    • 2、時代遅れの管理規約はマンションの「資産価値」を落とす
    • 3、体系的にルールを見直そう
    • 4、継続的に見直す仕組みを作ろう

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