住宅ローンを知ろう1(フラット35)

住宅を購入する際にキャッシュで購入するなんて人はごく一部。当然、住宅ローンを活用する方が多いと思いますが、近年ではバブル期のような金利の変動が少なくなり、現在のような超低金利を生かした変動金利を選択するのか、契約スタート時に金利上昇のリスクを負わず、全返済期間の返済額が確定する固定金利を選択するのかはとても悩ましいところです。

国土交通省の平成27年度 住宅市場動向調査によれば、約55%程度の住宅購入者が何らかの住宅ローンを利用しています。

ただし、「無回答」の人も20%~30%いるので、全体としては75%以上は「住宅ローン」を組んでいると思います。

その中でもよく耳にするのは「フラット35」

かつての住宅金融公庫がなくなり、現在の住宅支援機構と民間金融機関が協力して2003年から運用されているのがこの「フラット35」です。

今回は住宅ローン借り入れ時に一度は検討するフラット35の特徴、メリット・デメリットなどをご紹介いたします。

「フラット35」とは?

「フラット35」は全期間固定金利の住宅ローンで、住宅支援機構と民間金融機関が協力して2003年から運用されている住宅ローンです。

「フラット35」はその名の通り最長35年のローンが組めます。最短も決まっていて、15年以上となります。また、完済時に80歳まででなければなりません。

実際に「フラット35」を活用する場合の窓口は、「フラット35」を取り扱っている銀行などの金融機関となります。

旧住宅金融公庫が直接融資をしていたのに対し、住宅支援機構は直接顧客への融資はしません。

窓口となる銀行などの金融機関からローンを買い取り、証券化して市場で投資家へ販売するという方法(機構MBSといいます)を取っています。

つまり、金融機関はローンをすぐに住宅支援機構に買い取ってもらうことでリスクはなく、住宅支援機構はローンを証券化して市場で販売することでリスクを細分化しています。

「フラット35」の特徴

「フラット35」の特徴ですが、基本的に官民協力で仕組みづくりをしているので、利用者の利便性はかなり工夫されています。

この利便性がメリットにもデメリットにもなるのですが、窓口となる金融機関自体のリスクがそれほど高くない商品なので活用できる基準自体がかなり緩く設定されています。

また、「フラット35」という決まった商品があるわけではありません。

商品としての申し込み要件は住宅支援機構によって全国共通に統一されていますが、融資金利や融資手数料、申込時の提出書類等が窓口となる銀行によって違うのも大きな特徴です。

ネット銀行などでも取り扱っており、「価格コム」と言った価格比較サイトでも「住宅ローン人気ランキング」で各金融機関の金利の比較がされています。

「フラット35」のメリット

  1. 全期間固定金利で契約時に全返済期間の金利と返済額が決定する

    基本的な考え方として、全期間固定金利の「フラット35」は金利変動型のローンに比べると倍ぐらい金利が高いです。
    相場の金利が高くなった場合も金融機関がそのリスクを負わなければならないからです。

    しかし、35年もの長期の経済状態の変化を読むのは不可能で、計画も立てやすく、契約時に返済額を確定できることはメリットと感じている人も多いようです。

  2. 保証人不要
    通常、銀行などの金融機関の住宅ローンでは数十万円の保証料や保証人が必要ですが、「フラット35」ではどちらも必要がありません。
    当然、金利の高さに反映していると考えるのが普通だと思います。

    しかし、保証人はお願いするのもお願いされるのも嫌なもの。非常に重要なメリットだと思います。

  3. 繰上げ返済の手数料が不要
  4. 銀行等の金融機関の住宅ローンにおいては、繰上げ返済を利用する場合、1~3万円程度の繰り上げ返済手数料が必要になる場合があります。「金利が取れなくなった分払え!」とも取れる手数料ですが、「フラット35」の場合、繰上げ返済手数料は無料です。

    住宅ローンは返せるときにどんどん返していくことは非常にメリットがあります。

    繰り上げ返済手数料が無料となっている点はとても大きなメリットの一つと言えます。

  5. 団体信用生命保険への加入が任意

    団体信用生命保険とは一定の条件(借主の死亡など、契約内容によります)になった場合、返済をせずにそのままローン終了となる生命保険です。当然、生命保険ですから、保険金は金融機関が受け取る訳ですが、ご家族にとってはとても安心できる保険です。

    しかし、病気などなんらかの理由で団体信用生命保険に加入できない場合、通常の住宅ローンでは住宅ローン自体が組めなくなりますが、
    「フラット35」では借り入れ可能です。

    この場合、死亡後も住宅ローンが残ってしまうため、相続した遺族がローンの残債を支払うこととなります。

    また、通常の住宅ローンでは、この団体信用生命保険の保険料は金利の中に含まれていますが、「フラット35」の場合は別途保険料を支払う必要があります。

    まあ、明確でいいと思いますが、もし加入しない場合はご家族と十分に話し合いをしてから決めるようにしましょう。

「フラット35」のデメリット

  1. 団体信用生命保険代替の保険加入が必要

    メリットにも挙げた団体信用生命保険の任意加入ですが、実際はその代替となる「収入保障保険」に別途加入する必要があります。

    この「収入保障保険」ですが、働けなくなった場合に支払われる「所得補償保険」とは全く別物ですのでご注意ください。

    「収入保障保険」とは、被保険者が亡くなった場合において、遺族に対して保険適用期間終了まで毎月もしくは一時金で保険金が支給されるものです。
    掛け捨て型のタイプである場合が多く、保険料は割安になっています。

  2. 利用できる住宅に制限がある

    「フラット35」を利用できる物件には制限があります。

    • 一戸建て住宅:床面積70㎡以上
    • マンション:床面積30㎡以上
    • 物件購入価格が1億円以下(原則物件価額の9割まで融資)
    • フラット35の住宅技術基準に適合していること

    などです。

  3. 繰上げ返済額に制限がある
  4. 銀行等の金融機関の住宅ローンの繰上げ返済は、手数料はかかりますが1円単位で繰り上げ返済が可能です。

    しかし、「フラット35」では手数料がは全くかかることはありませんが、インターネットサービス「住・My Note」で10万円以上、金融機関窓口では100万円以上からとなっています。

    繰上げ返済にはある程度まとまった額を返済する必要があります。

  5. 金利が高い

    メリットとの裏返しで、住宅ローンを検討するスタート時点でわかってしまうことですが、長期固定金利の住宅ローンは将来のリスクがない代わりに、非常に高い金利を支払うこととなります。

    前述したように、「フラット35」は窓口となる銀行などの金融機関によっても金利が違います。
    契約後も常にチェックしておいて、もっと金利の安い「フラット35」への借り換えや、場合によっては変動金利型の住宅ローンに借り換えることも検討しておきましょう。

    ただし、20年も払ってしまってからでは借り換えのメリットが少なくなります。契約後から常に注意しておきましょう。

フラット35の種類

「フラット35」は基本的に全期間固定金利ですが、当初の一定期間のみ優遇金利を得られる商品もありますのでご紹介します。

「フラット35S」

より質の高い住宅を購入の場合(中古住宅も可)、優遇金利でローンを組むことが出来ます。

適用条件となる住宅支援機構が定めた技術基準には、①省エネルギー性、②耐震性、③バリアフリー性、④耐久性・可変性の4つがあり、技術が高い方から、さらにAプラン、Bプランに分かれます

最も高い品質の住宅に適用するAプランは当初の10年間が、また、Bプランでも当初の5年間の優遇が0.25%の金利が引かれます。

「フラット35」子育て支援型・地域活性化型

「フラット35」子育て支援型・地域活性化型は、地方公共団体と住宅支援機構が連携して行っているもので、住宅取得に対する地方公共団体による補助金交付などの財政的支援とあわせて、当初5年間の借入金利を0.25%引き下げる制度です。

基本的には人口減少や過疎化の問題がある地域が多いです。

その他

商品の組み合わせ

「フラット○○」は「フラット35」以外にも、借り入れ期間によって「フラット20」や「フラット50」という商品もあります。

また、そのいくつか(フラット20とフラット35など)を組み合わせることもできます。

ここで検討する可能性があるのは、固定の金額を支払う「フラット35」を、子供の成長やご自身の定年に合わせて変動させたい場合です。

例えば、借入金額3000万円のうち、2000万円を「フラット35」、1000万円を「フラット20」にして2つを組み合わせることが出来ます。
また、同じ商品同士も組み合わせが可能です(返済期間を変える)。

早く返済してしまえば、金利の支払いが減るのは当然です。また、ご自身の健康など、将来リスクも減らすことが出来ます。

シュミレーションするのが非常に複雑になりますが、計算はコンピュータがやってくれるはずです。

銀行窓口では遠慮なく納得するまで申し入れをしましょう。

また、何度も書きますが、銀行ごとに金利や手数料が違うので複数の銀行で話を聞くようにしましょう。

このページのまとめ

簡単にこのページのポイントを書いてみました。

  • 1、「フラット35」は窓口の銀行によって金利が違う
  • 2、利用できる条件には制限がある
  • 3、金利は高いが審査は緩め
  • 4、商品の組合わせで将来のリスクを減らそう

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