あなたは大丈夫?老後破綻してしまうパターン
近年、テレビや雑誌でやたらと取り上げられている住宅ローンの「老後破綻」。
住宅ローン破綻の原因は様々だと思いますが、主な原因は次の通りです。
- 失業(リストラ)
- 給料や賞与の減少
- 自己資金がない無理なローン
- 予期しない病気
- 子供の教育費の増加
- 離婚や別居
かなり突発的な原因も多くありますが、住宅ローンに対する計画の甘さを疑わなければならない内容もあります。
今回は「老後破綻」について細かくご説明します。
どのようなことに注意すれば「老後破綻」を事前に防ぐことができるのか。そのコツをアドバイスいたします。
このページの目次
何故「老後」に破綻するのか?
住宅ローンが破綻する件数は、その統計から焼く1万人程度と思われます。実際には司法統計の自己破産件数から推測するしかないのですが、住宅ローン契約件数から考えても約1%くらい。
金融機関の保有する貸し倒れリスクから見ても常識的な数字だと思います。
その中で「老後破綻」の件数のみを推測するのは難しいですが、国土交通省の「住宅市場動向調査」を見ても40代、50代の住み替えから持ち家率が上がっているため、住宅ローンの返済期間(20年~30年)を考えると、収入が途絶えた定年退職以降の破綻は想像できます。
現在、住宅ローンを返済できている人も他人事ではありません。
もう一度「返済計画」が正しかったか思い出してみましょう。
返済計画のポイント
現在、住宅ローンを組んでいる人、また、ローンを検討している人も次のようなポイントを頭に入れて考えてみましょう。
ローンの支払額と賃貸の家賃は比較にならない
「賃貸と同じように支払って購入すれば資産になる」なんて思っていないでしょうね?
実際に家を購入した場合、マンションであれば管理費や修繕積立費、駐車場代、固定資産税など色々な固定費がかかります。
また、戸建ての場合でも一括か分割かの違いはありますが、いずれは大規模なリフォームや修繕がかかります。
ローンの支払いは単なる家の購入費用です。その他の維持コストがかかることも忘れないようにしましょう。
賃貸の場合は、資産を維持するコストをオーナーさんが支払っているので、賃貸の費用と住宅ローンを単純に比較することはできません。
賃貸に済み続けても、家賃7万円として65歳の定年後、平均寿命の85歳までには1,680万円が必要ですが、ローンが無ければ必要に応じて安い物件に住み替えることができます。
最近では老人の一人住まいを敬遠する風潮がありますから、どちらが得かはわかりませんが、老後に「自己破産」して全てを失わないように注意しましょう。
住宅購入時の頭金がなければ破綻の可能性大
「頭金0でマイホーム」などと言った甘い広告にだまされていませんか?
昔と違って、「フラット35」など長期の住宅ローンの審査基準は非常に緩くなりました。
「審査が厳しい」ことは購入する住宅のレベル(価格帯)を引き下げることができ、結果として「破綻を防ぐ」ことになるのです。
何故、「頭金」が重要なのか?
「頭金」を用意している人は、現状の収入でも「貯金」がしっかり出来ている人なのです。
逆に「頭金」を用意できない人は「現状でギリギリ」の生活を行っていることになります。
また、「自分の貯金を維持して」両親に頭金を出してもらうのと、「お金が無いから」両親に頭金を出してもらうのには大きな差があります。
家の購入時には、万が一に備えて自分の生活そのものを見直すことが必要です。
ボーナス払いを当てにしない
ローンを組むときに、現状から予想した「ボーナス払い」を組み込んでいませんか?
ボーナスはその時の経済の状況に応じて変化するものです。現在の日本のような成熟した市場では「給料がずっと増える」などあり得ません。
個人的な意見ですが、「ボーナス払い」を組み込まず、「ボーナスを貯金」して1年に1度繰り上げ返済することをお勧めします。
「フラット35」では繰り上げ返済の費用は0円ですから、溜まったお金をいつでも返済することができます。
繰上げ返済をすれば、返済期間も短くなり、万が一ボーナスが出なくても無理なく返済を続けられます。
このお金が貯金できず使ってしまうような人は、確実に老後破綻の影が忍び寄ってきます。
「余裕が出た時に繰り上げ返済」と考えていては、「子どもの教育費が掛かるから今は無理」「車を買うから今年は無理」など、何かと理由をつけて返済を後回しにしてしまいがちです。
お金は最初に別の財布に入れておいて使えないようにしないと溜まりません。
「余裕資金」は必ず使えないようにしておきましょう。
定年後の支払いは当てにしない
金融機関の一般的な規定では、返済期間を「完済時年齢満80歳未満までの範囲で最長35年まで」と定めています。
65歳で定年としても、その後の15年間を現役世代と同じように支払うことが可能でしょうか?
営業トークとして、「退職金で一括返済すれば定年後の支払いはありません」などと言う担当者もいると聞くことがあります。
そもそも決まった金額の退職金が出るかどうかも疑問ですが、退職金を全額返済に充てて、老後の生活資金は大丈夫なのでしょうか?
また、老朽化した住宅もシニアライフを見越してリフォームする必要があります。
老後の生活資金が潤沢であれば良いのですが、定年退職は人生の中での大きなライフイベントです。
充実した生活のためには「働けばいいや」などという安易な計画はやめるべきです。
何と言ってもみんなが85歳まで生きる時代。仕事なんて少子化の日本にはそれほどたくさんありません。
返済期間の設定をもう一度見直し、定年までに返済できるようにしましょう。
返済比率は25%以下で設定しよう
返済比率とは、収入に占める返済額の比率です。
一般的に年収が400万円以上あれば、返済比率35%まで貸してくれる金融機関は多くあります。
仮に、年収600万円で返済比率が35%だと、年間210万円。30年の返済期間だと6300万円(支払総額)が借り入れられます。
住宅、保険、教育、車の4大固定費は収入の半分に収めるのが基本ですが、ローンの返済のみに35%を使ってしまうと、残りは15%。
35%の返済比率は、異常な数値であることが分かります。
「金融機関が貸してくれる範囲内だから安心」とはまったく言えないのです。
安易に返済期間を延ばすのも金利の支払いが多くなりお勧めできませんが、購入予定の物件レベルを下げてでも25%以下に抑えることをお勧めいたします。
「万が一のときは売ればいい」は間違い
「万が一のときは売ってしまえばローンはなくなる」と思っていませんか?
これは大きな間違いです。
バブル期のように、「土地の価格や物件価格が半年で倍になる」なんてことは滅多にありません。
通常は建物の価値もどんどん下がって、ローンの残債が残ることとなります。
また、ローンの支払いが滞って、「競売」になったら最悪です。安くで売却した上にローンも残り、自己破産なんてことも・・・。
万が一のときに売却するのであれば、残債分の貯金があるように必ずチェックしておいてください。
ライフプランを見直そう
細かい支出の計算をすることが得意な人は良いのですが、どうしていいか分からない人は簡易的ですが、コンピュータシュミレーションをしてみてはいかがでしょうか?
いくつかの質問に答えていくだけで、登録もお金もかかりません。
いくつかありますが、結構厳しい結果が出る「ゆうちょ銀行」のライフプランシュミレーションをお勧めします。
これで悲惨な結果が出てしまったら、取引のある銀行へ相談するのもひとつです。
また、「銀行はちょっと・・・」と言う方はお近くのファイナンシャルプランナーにご相談してみてはいかがでしょうか?
優秀なファイナンシャルプランナーであれば、しっかりと将来の計画を明確にしてくれると思います。
また、住宅ローンのみならず、保険や教育資金、社会保険、年金、相続といった幅の広い知識がありますので、今まで気づかなかったことまで助言してくれると思います。
このページのまとめ
簡単にこのページのポイントを書いてみました。
- 1、「老後破綻」を防ぐには綿密なライフプランを立てること
- 2、退職金は当てにしない
- 3、ボーナスも当てにしない
- 4、「毎月の返済額」より「完済日」を意識しよう