マンションの資産価値を高める「管理組合」2
マンションの資産価値を高める「管理組合」1を読んで、管理組合や理事会への参加に対して、さらに「面倒くさい」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
案内人は「絶対に積極的な参加が必要」と考えます。
今回はその理由についてご案内いたします。
このページの目次
マンション総合調査の分析
国土交通省では5年に1度、「マンション総合調査」というアンケート調査を実施していて、インターネット上で公開されています。
最新のデータは平成25年12月のものです。これを中心にご紹介いたします。
1、管理状況への満足度
マンション管理の現況に対する満足度は項目別に下記のとおりです。
やはり、管理組合の活動が活発で、居住者のコミュニケーションが上手く出来ているマンションは満足度が高いと言えるでしょう。
「管理業者(フロントマン)が良い」という評価は、管理組合がマンション管理会社をしっかりコントロールしている結果とも取れます。
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管理状況に満足している理由(重複回答)
- マンション管理業者が良いので・・・・・55.7%
- 管理員が良いので・・・・・・・・・・・39.8%
- 管理組合役員が熱心なので・・・・・・・39.3%
- 居住者全員が協力的なので・・・・・・・21.0%
- 管理費が適切な額であるため・・・・・・19.9%
- その他・・・・・・・・・・・・・・・・ 4.4%
また、満足していない人に対してもアンケート調査しています。
当然、質問は満足している理由の逆になります。
予想通りコミュニケーションの不足が多いと考えられます。
管理組合役員の熱意も小さいと言うところでしょうか。
管理員への不満が少ないのには驚きますが、管理自体に対する興味が無いのではないのでしょうか?
また、「その他」が25.4%と非常に多いです。
細々と色々な問題を抱えていそうですね。
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管理状況に満足していない理由(重複回答)
- 一部の居住者の協力が得られにくい・・・50.7%
- 管理組合の役員が不慣れなので・・・・・28.3%
- マンション管理業者が良くないので・・・21.0%
- 賃貸された住戸が多いので・・・・・・・17.8%
- 管理費が適切でないため・・・・・・・・16.3%
- 管理組合が機能していないので・・・・・14.1%
- 管理費の滞納が多いため・・・・・・・・12.0%
- 管理員が良くないため・・・・・・・・・ 5.1%
- その他・・・・・・・・・・・・・・・・25.4%
2、総会への出席状況
マンション管理の最高意思決定機関である「総会」への出席に対する意識はどうなのでしょうか?
この出席率が悪いマンションは、役員になってもやるべきことがわからず、活動が活発にならないと思います。
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総会への出席状況
- ほとんど出席している・・・58.7%
- 時々出席している・・・・・27.1%
- ほとんど出席していない・・11.2%
- 全く出席していない・・・ 1.7%
アンケートの結果では85%以上の人が「出席する意思は持っている」ようです。
それでは、欠席時の委任状などの提出状況はどうでしょうか?
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総会への出席状況
- かならず提出している・・・72.5%
- ほとんど提出している・・・ 9.9%
- あまり提出していない・・・ 1.1%
- 全く提出していない・・・ 0.7%
良心的に取れば、「議題を確認して意思表示している」とも取れますが、悪意で取れば「総会には出ないけど、委任状出しとけばいいんでしょ!」とも取れます。
同じように提出している人でも、意識差はかなりあると思われます。
3、マンション購入時に「維持管理」で考慮した事項
マンションの資産価値は、言い替えれば「みんなが買いたいマンション」であり続けることです。
それでは、マンションを購入した人はどんなことを注意して検討ているのでしょうか?
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維持管理で考慮した事項(複数回答)
- 優良なマンション管理業者であること・・・・・・・41.7%
- 管理費および修繕積立金の額が十分であること・・・41.2%
- 管理規約の内容が妥当であること・・・・・・・・・33.4%
- 長期修繕計画が作成されていること・・・・・・・・23.1%
- 管理組合が円滑に運営されていること・・・・・・・11.2%
- 大規模修繕工事が適切に実施されていること・・・・10.4%
アンケートの結果では「優良なマンション管理業者であること」が41.7%と非常に評価されています。
一方、「管理組合が円滑に運営されていること」については11.2%程度です。
理事会経験者であれば実感することですが、実は「「管理組合が円滑に運営されている」ことと「優良なマンション管理業者であること」は同じくらい重要です。
この2つが揃えば他の項目は自然と満足度の高い内容になるのです。
4、管理組合への役員就任への対応
さて、いざ自分が管理組合の理事(役員)に選ばれる場合、どういう対応をしているのでしょうか?
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管理組合への役員就任への対応
- 順番が回ってきたら引き受ける・・・・・・・・・・47.3%
- 快く引き受ける・・・・・・・・・・・・・・・・・13.3%
- 他にやり手がいなかったらやむ終えず引き受ける・・ 9.7%
- 引き受けない・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5.7%
これも、数字だけでは表せない意識差がありそうです。
「引き受けない」と答えた人は5.7%だけですが、「快く引き受ける」のはたったの13.3%です。
同じ資産でも、「一生懸命やらないと貯金額が毎年減っていく」と言われると分かりやすいのですが、「誰かがやってくれる」という甘えがあるのかも知れません。
上記5.7%の引き受けない人の理由もアンケートで調査しています。
理由がたくさんあるので上位6項目のみ記載します。
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管理組合への役員就任を引き受けない理由
- 高齢のため・・・・・・・・・・・・・・・・・・30.4%
- 仕事等が忙しく時間的に無理だから・・・・・・・23.2%
- 本人、家族に病人がいる等の事情があるから・・・10.7%
- 面倒くさいから・・・・・・・・・・・・・・・・ 8.9%
- 何をしたらよいかわからないから・・・・・・・・ 8.9%
- あまり関心がないから・・・・・・・・・・・・・ 7.1%
これを読まれた皆さんはどう感じたでしょうか?
なんと「高齢だから」と回答した中には50代、60代の方がいます。
このほかの理由には、少数ですが「引き受けない人と比べて損だから」「前回引き受けたときに嫌な思いをしたから」というのもあります。
こうなると子供の言い訳を聞いているようです。
結局、最初から「やらない」と決めておいて、後から理由を考えているとしか思えません。
まあ、少数回答ですけど。
管理組合へ積極的に参加すべき理由
国土交通省のアンケート調査では、非常に幅広く、また細かく調査がされています。
確かに、個別の質問に対する回答がどうかも重要です。しかし、全体として「満足度の高い回答が得られているマンション」は個別の質問にも満足度が高い回答をしているはずです。
マンションの中には管理組合の役員報酬を規定しているところもあるようです。
規定を否定するつもりはありませんが、全員が積極的に参加し「資産価値を維持・向上させる」ことで、十分な報酬となることを認識するべきと考えます。
このページのまとめ
簡単にこのページのポイントを書いてみました。
- 1、マンションの管理へは積極的に参加しよう
- 2、管理組合への熱意は資産価値へのエネルギーとなる
- 3、住民のコミュニケーションは最も大事
- 4、資産価値の向上が役員報酬