マンションの資産価値を高める「管理組合」1

初めてマンションを購入する人にとってはあまり馴染みのない「管理組合」

「面倒くさい」「かかわりたくない」「忙しい」といったネガティブなイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。

昔から「マンションは管理を買え」と言われるほどで、管理組合は「資産価値」へ影響します。土地の権利部分が少ないマンションですから、当然といえば当然。
しかし、この「管理組合」、「マンションの資産価値を維持するために、重要性はますます高まっています

最近では、積極的に勉強する管理組合が増え、総会へ提案、実行することで資産価値を下げない努力もされています。

言葉で言うのは簡単ですが、「こんなマンションに住みたい」と思えるマンション作りをしていくことが管理組合の大きな役割です。

マンションの共有部分の運営に関わる全体の仕組みはのが区分所有法という法律で規定されていますが、法律の条文がわかりにくいので実態に合わせてご説明いたします。

今回はマンションの管理組合の役割重要性について2回にわたりご案内いたします。

管理組合とは何か?

マンションを購入するということは、マンションの各部屋を所有する権利と、玄関・敷地・エレベータなどを利用する権利を両方購入することになります。

マンションの部屋を購入した所有者を「区分所有者」といいます。

玄関・敷地・エレベータなど区分所有者が利用できる部分を「共用部分」といいます。

この「共用部分」についての利用ルールや建物全体の管理・維持について決め事をしていくのが「管理組合」です。

この「共有部分」はマンション購入時に受け渡される「管理規約」に明記されています。
区分所有者はこの管理規約に従って生活をしなければならず、管理組合は「管理規約」に明記されている共用部分のルール作りを行います。

通常、区分所有者は所有権を得たと同時に「管理組合」の構成員となり、所有権を持つ間は脱退することができません

「理事会」・「総会」とは何か?

「区分所有法」の規定や通常の管理規約によれば、「総会で決定した事項を理事会が実行する」ということになりますが、現実は理事会が総会へ提案し、決議された内容を次期理事会が実行する」になります。

この関係は、「国会と内閣」の関係と同じです。そういう意味では管理組合は「国民」と考えればわかりやすいです。ただし、国会にあたる総会には全組合員が参加する権利があります。

そして、「内閣」にあたる「理事会」のメンバーは「理事」として「総会」で選出され(その選出方法は管理規約に記載があります)、1~2年間の任期で活動します。

また、理事会の長である「理事長」は理事の中から互選で選出されることが多く、対外的にも重要な役割を負います。(法律上は「理事長」は「管理者」と言います)

ここまでの説明を簡単に図形にしてみました。

 

理事会の役割

総会によって選出された理事は「理事会」を開催し、運営します。
一般的に理事会は1ヶ月~2ヶ月に一度開催されることが多いようです。

理事のメンバーも仕事などの都合がありますから、土日に開催されることも多く、メンバーの方は時間を取られることは事実です。

開催頻度は変更できますが、毎月の収納のチェックや議事録の作成・配布の時間を考えると1ヶ月に1度くらいが個人的には良いと思います。

さて、「理事会」では基本的に3つのことを話し合います。

1、予算の実行

総会でスケジュール化された予算案が計画通りに実行されているかをチェックします。

  • 管理費、修繕積立費が遅滞なく区分所有者から収納されているか
  • 駐車場などの使用代金が遅滞なく使用者から収納されているか
  • 庭木の剪定、配管の清掃、火災報知機のチェックなどが行われたか
  • 業者への支払いが遅滞なく行われているか

など、細かいことまで挙げたらきりがありません。

ただし、総会で決議されていないことを理事会が勝手にすることもできませんから、あくまでスケジュール表に従うことになります。

2、日々の問題点チェック

区分所有者が問題なく生活できているかをチェックします。

問題があれば、理事会が対応することになります。

  • ゴミだしのマナーが悪い
  • 生活騒音の問題がある
  • 管理人の対応が悪い
  • 共有部の設備(カギや裏口の閉まり具合など小さいもの)が老朽化して使いにくい

のようなものです。

マナーなどの問題については張り紙などで注意喚起を行います。

小額の予算が必要な場合は、通常、管理費の中に「予備費」といった緊急支出ができる様になっていると思います。

3、次回総会の議案の策定

理事会の大仕事はなんといっても「総会議案の策定」です。

日常の問題点の解決や、マンションの資産価値を維持し、高めるための長期的な計画の作成・ルール作りなどの原案を策定します。

決議する内容によって必要な議決数も違いますから、細心の注意を持って策定し、区分所有者へは日頃から情報提供や協力要請が必要です。

基本的に議案は策定された内容に対して、区分所有者が「Yes」「No」の選択で行いますから、細かい点まで見落としは許されません。

なぜなら、総会の間に議案内容の変更などは出来ないからです。

一般的な決議内容とその定足数、議決権の数を下記に記載します。

決議区分 決議項目・定足数・可決数
1、総会成立 議決権数の1/2以上
2、普通決議 (決議項目)

  • 収支決算報告と事業報告の承認
  • 予算と事業計画の承認
  • 理事・監事の選任または解任
  • 管理会社の変更
  • 管理業務の委託契約等の更新や変更
  • 管理費等の金額の決定や変更(規約に金額を定めていない場合)
  • 使用細則の制定および変更や廃止
  •                   など
    (可決数)
    総会出席者の1/2以上

    3、特別決議 (決議項目)

  • マンション管理規約の変更や廃止
  • 管理組合法人の設立および解散
  • 共用部分の形や機能の変更
  • 共用部分の敷地や付属施設の変更
  • 建物の価格の2分の1を超える大規模な損失の復旧
  •                   など

    (可決数)
    区分所有者数および議決権数の4分の3以上

    4、建物建替えの特別決議 区分所有者数および議決権数の5分の4以上

     

    重要ポイント!
    「マンション標準管理規約」を基に上記内容は記載しておりますが、区分所有法では「マンション管理規約で別段の定めをすることができる」と明記されていて、総会成立の定足数や普通決議の可決数は管理規約によって変更することが可能です。また、近年問題となっている建替え決議などは規定の緩和がされる予定で、本内容は今後変わることが予想されます。

    管理会社の活用

    既にお分かりだと思いますが、理事会運営に必要なエネルギーは相当なものです。
    通常、この複雑な運営や処理を委託できるのが「マンション管理会社」です。

    マンションの運営を自分たちのみで行うことを「自主管理」と言いますが、理事長が変わることによって仕事が雑になってしまったり、また、理事長が長期政権となって知らない間に皆さんのお金を使い込んでしまったりといったトラブルも少なからず起こっています

    実際、マンションの自主管理は「資産価値」の評価から言うとあまり良いとは言えません。

    また、マンション管理会社に頼りすぎても問題があります。マンション管理会社が管理すべきお金を使い込んでしまった事例も多くあります。

    「マンション管理会社に任せっきり」というマンションはかなりあります。結局、自分たちのマンションの価値を下げることになってしまいますので絶対に止めましょう。

    理事会がしっかりとした上で、マンション管理会社を管理、監督して良いマンションにしていくことが大事です。

    管理会社の良いところは「他のマンションがやっている事例」を多く知っていることです。
    管理会社のHPなどを見て、可能なら過去の実績も見ておきましょう。経験豊富な管理会社なら、何かトラブルがあっても頼れるケースが多いと思います。

    このページのまとめ

    簡単にこのページのポイントを書いてみました。

    • 1、マンション購入者は自動的に管理組合に入る
    • 2、マンションの資産価値の維持には「管理」が重要
    • 3、理事会の役割を理解しよう
    • 4、マンション管理会社に任せっきりは絶対ダメ

    「マンションの資産価値を高める「管理組合」2」へ

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