知っておきたい相続10(相続で揉めないために)

実際に始まってみないと、何が起こるのがわからないのが遺産相続です。

「別に、一緒に住んでるんだから親父が死んだら全部もらえばいいじゃん!」などと実家に寄り付かなかった兄弟が、お父様の容態悪化をきっかけに頻繁に介護を手伝ったり。

また、色々と実家の事に口を出してきたり・・・。

「んっ?」と思っていると、お父様が亡くなった途端に相続争い。

私の身近でも何度か見ています。

さて、今回は「知っておきたい相続」の最後としてもめない相続のためのアドバイスをいたします。

「絶対揉めない相続」とは到底言い切れませんが、何かのきっかけになってくれればいいなと思っています。

遺産が少ないと相続で揉めない?

結論から申し上げます。揉めます。

裁判所のホームページでは「司法統計」という検索サービスがあります。

このページ作成時には平成27年度の実績が最新でしたが、裁判所の調停成立件数 8,181件の内、

  • 1000万円以下 2,633件(32.2%)
  • 5000万円以下 3,572件(43.6%)
  • 1億円以下 1,042件(12.7%)

なんと1000万円以下が32%以上あります。

遺産の額に関係なく、有効な遺言書をしっかり残しておくことをお勧めいたします。

遺言書についてはこちらで詳しくご案内しています。

「知っておきたい相続4(遺言書)」へ

なぜ揉めるのか?

揉める原因は簡単に言ってしまうと「コミュニケーションの不足」なのですが、もっと深く掘り下げると、「調整力の欠如」です。

まったく噛み合わない切り口で議論を進めても、感情問題になるだけです。

例えば、「ずっと住んでいた家だから売りたくない!」という話と、「売らなきゃ公平に分配できない!」という話は絶対に平行線になります

世界的な経営学者ドラッカーの有名な言葉で「「コミュニケーションは相手の言葉でしか成立しない」というのがあります。

「司法統計」の資料を(数字だけですが)読み取ってみると、もはや「お金の問題じゃない!」くらいまで揉めてしまっていると予想されるケースもありそうです。

会いたくないからと、最初から代理人を立てるなどもっての外。相続人全員が冷静に落とし所を見つけ出しましょう。

たとえ兄弟でも「当たり前」の文化は違う訳ですから、しっかりと言い分を読み取って調整する必要があります。

相続で揉めた場合のデメリット

相続で揉めるとたくさんのデメリットがあります。注意しましょう。

1、相続の手続きがストップする

相続の手続きはほとんどストップしてしまいます。
遺産分割協議書が必要な手続きは基本的に出来ません。

少しだけ例を挙げると

  1. 預貯金口座の凍結解除
  2. 動産、不動産の名義変更(株式、土地・建物、車など)

まだありますが、上記2つが出来ないと目先の生活に困ることも出てきます

2、相続に関わる税制優遇のメリットを失う

相続税は相続開始から10ヶ月が期限となりますが、これを超えてしまうと相続税の控除等が使えなくなります。
非常に大きな金額となり、争うことのメリットがよほど大きくないと意味がありません。

相続税についてはこちらで詳しくご案内しています。

「知っておきたい相続1(相続税)」へ

3、弁護士費用などがかさむ

すべて自力で調停を進めればいいのですが、時間ももったいないですし、弁護士費用はばかになりません。

「司法統計」によれば、調停の期間は1年以内が最も多く、次に2年以内、3番目に6ヶ月以内となっています。

4、将来の負の遺産となる

結局、話し合いだけで調停などにもならず、そのまま放っておくと、次の世代の負の遺産となります。

特に相続した不動産の所有権移転登記をそのままにしておくと、将来「真の権利者」を特定するのが難しくなり売却できなくなってしまいます。

法廷相続の形でも構いませんから、不動産については何かしらの決定事項をまとめて、登記はしっかりとやっておきましょう。

このページのまとめ

いかがでしたでしょうか?「相続の話」の最後は「揉めないのが一番」ということがお分かりいただけたと思います。

簡単にこのページのポイントを書いてみました。

  • 1、相続は何が起こるか分からない
  • 2、遺産が少なくても相続は揉める
  • 3、遺言書をしっかり残そう
  • 4、話のまとめ役をしっかりやろう

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