知っておきたい相続5(遺言書の探し方)

「知っておきたい相続4」では主に遺言書の種類とその作成方法についてご案内いたしました。

さて、実際に遺言者が亡くなってみたら、どうやって探せばいいのでしょうか?

基本的に遺言書は「秘密文書」です。「内容を相続人に話してはいけない」と言った規定は法的に存在しませんが、書き直しも自由。
言った後に気持ちが変わってしまうこともあり得ますので出来るだけ話さないほうが良いと思います。

配偶者などに渡しておけばいいのですが、利害関係者に破棄・隠匿されてしまう可能性だってあります。

「探しやすさ」と「破棄・隠匿のリスク」を考えて遺言者は場所を選ぶでしょうから、遺族は大変です。

今回は存在自体が分からない遺言書の探し方についてご案内いたします。

遺言書の探し方

「遺言書なんてあるかどうかもわからない」という方も多いと思います。
しかし、遺言書があるかないかによって、その後の手続は全く変わってきます。

また、仮に遺産相続が終わってから(時には十数年も)経って遺言書が見つかってしまうと非常に面倒なことになります

ご家族が亡くなったら、まず遺言書の有無を調べましょう。
ここでは遺言書の探し方をいくつかご紹介いたします。

 

1、公正証書遺言・秘密証書遺言の探し方

公正証書遺言・秘密証書遺言の作成には「公証役場」が関わります。
したがって、公証役場に問い合わせると確認ができます。

公証役場は全国の公証役場をつなぐネットワークを持っているため、平成元年以降に作成されたものであれば、どこの公証役場に問い合わせても公正証書遺言を作成した公証役場名、公証人名、遺言者名、作成年月日等が確認できます。

ただし秘密保持のため、相続人等利害関係人のみが公証役場の公証人を通じて照会を依頼することができることになっています。

被相続人が死亡したとの記載のある戸籍謄本や除籍謄本と自分が相続人であることを証明できる戸籍謄本、および免許証などの写真付き身分証明書を持って近くの公証役場で確認しましょう。

なお、遺言書作成などに関することは、はこちらで細かくご案内しています。

「知っておきたい相続4(遺言書)」へ

「公正証書遺言」の場合には公証役場に遺言書が保管されていますので、保管されている公証役場に行けば写しをもらって内容を見ることができます。

「秘密証書遺言」の場合には遺言書の有無のみ確認することができます。
遺言書自体の探し方は後述する自筆証書遺言と同じです。
ただし、「自筆証書遺言」と違って、「遺言書がある!」という前提で遺品から探すことができるので少しは安心できると思います。

 

2、自筆証書遺言の探し方

まさに「宝探し」です。
まず、仏壇や机の中、自宅の金庫、貸金庫などをまず探しましょう。遺言者も「発見のし易さ」と「破棄・隠匿のされにくさ」を勘案して保管するでしょうから、遺言者の性格も踏まえて探しましょう。

自宅の金庫は解錠方法を誰かに教えなくてはいけないですし(専門家もいますが・・・)、貸金庫は相続人全員で行う必要があります。

そのほかには、第三者があります。友人、知人、弁護士などの専門家などです。また、銀行、信託銀行という可能性もあります。付き合っている銀行などにも聞いてみましょう。

また、シンプルに遺品の中から突如出てきたりすることもありますので、悲しみに暮れている中ですが遺品の整理は早々にやってしまいましょう。
但し、相続が終わる前に資産を処分してしまうと「相続放棄」が出来なくなってしまうので注意しましょう。

相続放棄についての詳細はこちらにご案内しています。「知っておきたい相続3(相続放棄)」へ

 

3、自筆証書遺言、秘密証書遺言を発見した場合の注意点

自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は家庭裁判所の検認手続きが必要です。
検認の前に開けてしまうと「無効」になってしまう可能性もあるので注意しましょう。

このページのまとめ

いかがでしたでしょうか?この「ページを読めば、必ず遺言書が見つかる!」というわけには行きませんが、何となくヒントにはなったのではないでしょうか?

問題はあったのに見つからず、後日見つかったというパターンです。利害関係者も含め非常に面倒なことになりますので、必死に探しましょう。

簡単にこのページのポイントを書いてみました。

  • 1、家族が亡くなったら、まずは公証役場へ確認に行きましょう
  • 2、故人の遺品整理は早めに行いましょう(処分はしないこと)
  • 3、遺言書を発見しても開封しないようにしましょう
  • 4、見つからない場合は葬儀の御礼も兼ねて知り合いにも聞いてみましょう

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