不動産の価格って本当はいくら?目的で変わる基準を知ろう!

先日、国土交通省から平成30年度の公示地価が発表されました。
新聞やテレビでも大きく取り上げられましたが、全国第1位は銀座 山野楽器銀座本店様だそうです。
その価格は1㎡当り5,550万円!!!一坪(3.3㎡)だと1億8315万円!!!
バブル期の最高額が3850万円。2008年がミニバブルで3900万円。一昨年が4010万円。昨年が5050万円ですからバブル期以上の資産価値があるということです。
まあ、売る気も無いでしょうし、こちらも買う気が無いので関係ありませんが、さぞかし固定資産税が大変でしょうねくらいの感じです。
さて、実際買うとなった場合、この値段で買えるのでしょうか?
また、こんな土地を相続したら?税金は?
関係ないとはいえ、色々と考えてしまいますよね
しかし、ここまで大きな金額でなくても、家の売却や相続のときには、身近に同じようなことが起こります。
土地や不動産は「一物四価」とか「一物五価」と言われ、何の目的で使われるかによってその価格の算定基礎が変わります。
非常に身近な問題でもあるのでしっかりと理解しておきましょう。
このページの目次
一物四価と一物五価
そもそも、どの価格のことを四価とか五価と呼んでいるのか基本的なことを説明します。
まず、「一物四価」は
- 実勢価格
- 公示地価
- 路線価
- 固定資産評価額
の4つを言います。
これに「公示価格」を補完する形で発表されている「基準地標準価格」を入れると「一物五価」と呼ばれます。
それでは、その1つ1つを個別にご説明いたします。
実勢価格
実勢価格とは、実際に売買が行われる「時価」の価格です。
基本的に実勢価格は実際に取引が行われる価格なので、将来値引きが予想される広告やネット上の希望売却価格ではありません。
買主と売主が合意して売買が行われる価格です。
実際に売買が行われた価格をデータベース化すると、周辺の取引状況、人気度合いが分かってきます。
また、現状は価格上昇してきてトレンドとして売り時なのか、買い時なのかも分かります。
売却や購入の相談で不動産業者へ相談に行った場合の参考価格はこの「実勢価格」となります。
公示地価
「公示地価」は国土交通省が毎年1月1日を基準日として3月下旬に発表している土地の価格です。
この価格は、都市計画区域内に設定されている基準地点を不動産鑑定士が調査(売買の取引状況や家賃収入など)、その調査結果(約25000箇所)をもとに土地鑑定委員会が公示地価を決定しています。
この地価の目的は「実際の土地売買の目安」として発表しておりますが、実際の土地売買は「時価」であり、その時の人気や土地の形状などによってもかなり変動してしまいます。
では、何故調査をしているのか。
新聞記事の最後の方に大きな答えがあります。
国交省は、都心の商業地の地価上昇について「収益性を重視した選別投資の傾向が強く、総じて過熱しているとはみていない」としている。
つまり、投機的な要因によって異常な価格の上昇や吊り上げが行われておらず、適正に国土が利用されているかを確認しています。
また、この「公示地価」は公共事業用地の取得価格(補償金)算定の規準となります。
実際にいくらで取引をされていようが、この公示地価が「適正な価格の目安」なのですから保証金の算定基準になるのは当然のこととなります。
路線価
国税庁が毎年1月1日を判定の基準日として7月に発表している土地の価格です。
「路線価」は「相続税路線価」とも呼ばれ、相続税・贈与税の算定基礎の目安となります。
例えば、相続した家を売却した場合は、売却した価格が課税対象の基礎となりますが、家をそのまま相続した場合、この「路線価」が相続税の算定基礎となります。
また、生前贈与などをした場合も、この「路線価」が課税の算定基礎となります。
ざっくりですが、この「路線価」は「公示地価」の80%程度の評価水準と言われています。
固定資産評価額
市町村が毎年1月1日を基準日として、現在の土地、家屋等(固定資産)の所有者に対し、その固定資産税評価額をもとに課税する算定基礎となる価格です。
厳密にいうと、「土地と家屋は別々に評価され、3年に1度評価替えが行われます。
土地の評価としては「公示地価」の70%程度が評価水準と言われています。
また、登記に関わる「登録免許税」や、「不動産取得税の課税標準」となる登録価格です。
基本的に個別の物件に関わる具体的な固定資産税額は公表されておらず、特定の利害関係者しか公開請求ができません。
基準地標準価格
「基準地標準価格」は「基準地価」とも呼ばれ、都道府県が毎年7月1日を基準日として9月に発表している土地の価格です。
評価内容に様々な違いはありますが、公表時期を見ても分かるように、「公示価格を補完」する役割が大きく、国土交通省の「公示地価」検索システムではこの「基準地価」も同時に検索することができます。
従って、課税などの目的で調査されているわけではありません。
「公示地価」は「実勢価格」とどれだけ違うのか?
一概に土地と言っても日本全国様々なので「これだけ違う!」と絶対のレポートをすることは難しいです。
また、実際に価格交渉もできないので、あくまで「希望価格」との違いとなってしまいますが、調べてみました。
大田区田園調布4丁目
言わずと知れた日本屈指の高級住宅街です。
例えば、土地売買の目安となる「公示価格」で高級住宅街 大田区田園調布四丁目(555㎡)は649,000円/㎡となっていますが、、Yahoo!で土地の売却希望価格を調べてみると208.31㎡で1億5000万円。
つまり720,000円/㎡となります。
単純に㎡当たりの価格は10%程度の乖離ですが、555㎡のまとまった土地を売却すればもう少し差が出るはずです。
横浜市港北区日吉本町
慶応大学に近い住宅街です。
土地売買の目安となる「公示価格」で横浜市港北区日吉本町(234㎡)は548,000円/㎡となっていますが、、Yahoo!で土地の売却希望価格を調べてみると100.19㎡で5,980万円。
つまり596,000円/㎡となります。
単純に㎡当たりの価格は9%程度の乖離ですが、234㎡のまとまった土地を売却すればもう少し差が出るはずです。
結論
上記の調査はどちらも高級住宅街ですが、この結果について2つの使い方が出来ます。
1、あくまで希望価格の調査ですが、5~8%以下程度の値引きができそう。
2、この「公示地価」から50%以上も乖離している場合は、異常な価格設定をしている。
と言った感じです。
このページのまとめ
簡単にこのページのポイントを書いてみました。
- 1、「一物五価」は利用目的の違いにある
- 2、身近なケースでは適切な価格を利用しよう
- 3、実勢価格は「時価」
- 4、5つの価格の違いをしっかり理解しよう