住宅ローンを知ろう2(住み替えローン)
家の買い替えで一番気になるのはお金のこと。
特に、現在住宅ローンを組んでいる人は、基本的に現状の残債を持家の売却価格で支払えないと新たな住宅ローンを組むことができません。
当サイトで何度も書いていますが、不動産の売買取引は完全な所有権の移転を求めます。
通常、住宅ローンを組んだ場合、持家に抵当権が設定されるため、ローンの残債があると売却できないのです。
「抵当権ついてるけど買う?」って言われたら、買わないですよね。
今回は住み替えを行う際のローンの注意点と失敗しないためのコツをアドバイスいたします。
このページの目次
住み替えの理由
住み替えについてのアンケートはいろいろな所で行われ、インターネット上でも情報があたくさんあります。
大きく分けると理由は次のようになります。
- 大きなライフイベントによるライフスタイルの変化
- 現在の住環境、周辺環境への不満
- 住宅ローンが支払えなくなった
- その他、突発的な出来事
出産、子どもの進学、子どもの独立、定年退職
間取りや使い勝手への不満、家の老朽化、隣人トラブル
リストラや病気になどの原因による収入の激減
急な転勤・転職、子供の病気・離婚
などです。
将来のライフイベントを考えて住み替えよう
住み替えの理由の中で、外部環境による影響や突発的な出来事の場合どうしようもありませんが、賃貸にしろ購入にしろ、資金繰りはとても重要になってきます。
引越し費用や手続き、持家を売却する場合は税金や保険のことも考えなければなりません。
仮に税金が還付されるとしても確定申告などやることはたくさんあります。
また、子供の成長で、今より大きな家への住み替えする場合でも、もっと将来は夫婦2人きりになってしまいます。
中学校入学から大学卒業までの時間は、たった10年しかありません。
もう一度住み替えをするか、シニアライフのための大規模リフォームが必要になってきます。
住み替えで住宅ローンを組む場合には、ある程度将来の計画を頭に入れながら行動しましょう。
「住み替えローン」とは?
「住み替えローン」とは、現在の住宅のためのローン残債と新しい住宅のためのローンを合わせたもので、「買い替えローン」とも呼ばれています。。
前述しましたが、住宅ローン残債が残っていると、現在の家には抵当権が設定されている場合がほとんどです。
現在の家を売却した場合、売却価格(+預貯金)でローン残債が全てなくれば、新しい家の資金は通常の住宅ローンを組むことが出来ます。
例えば、住宅ローンの残債が25000万円で、家の売却価格が2000万円だった場合、全額返済するには500万円足りません。
新居の価格が5000万円だった場合、この残債500万円と合計した5500万円の住宅ローンを「住み替えローン」として借り入れることになります。
「住み替えローン」の注意点
- 以前のローン決済日と融資日が同じ
- 融資条件が厳しい
- 融資条件が複雑
住み替えローンは、以前に組んだローンの残務すべてを返金する日と、新しく組んだ住み替えローンの融資日を同じにする必要があります。
つまり、売却先、売却価格、購入先、購入価格、決済日も全て確定してタイミングを合わせなければいけません。
ローン残債のことを考えると、今の家をできるだけ高く売却する必要があります。じっくりと高く買ってくれる人を探したいですよね。
しかし、買いたい家が決まっているのに(転勤が決まっているのに)なかなか売却できないと、慌ててしまって買い叩かれることも。
「売り先行」か「買い先行」かは非常に難しい判断ですが、基本的に
資金に余裕があれば→買い先行
資金繰りを立てやすい→売り先行
となります。
誰でも、同時にやろうと思っているんですが、そうは上手くいかないのである程度決めておく必要があります。
「売り先行」か「買い先行」のメリット・デメリットについては下記ページで詳しく説明していますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
今の家が売れるまで融資を受け、一旦購入資金に充て、家が売れたら、その融資を返済します。
しかし、金利や手数料が高いことや、1年以下程度の短い融資なので、今の家が予想よりも安くでしか売れなかったり、最悪売却できないときには大変ですからお勧めはしません。
利用するときは、資金繰りを良く考えて利用しましょう。
住み替えローンの審査は一般的な住宅ローンよりも厳しいです。
実際の財産の価値以上の金額で融資しなければならないので、貸し付ける側にとってはリスクが大きくなるからです。
厳密にいうと、「住み替えローン」という特別な商品があるわけではありません。
「購入する家の価値以上で融資を行う「住宅ローン」です。
従って表面上は通常の住宅ローンとかわらないのですが、金融機関のリスクが大きい分、審査や条件が厳しくなります。
このリスク分の上乗せが金融機関によって違います。
単純に金利に上乗せのところもあれば、手数料などに違いがあるかもしれません。
いくつかの金融機関で見積もりする場合、必ず「支払い総額」で比較しましょう。
保証料は要注意!
「住宅ローン」でも「住み替えローン」でも「保証料」を支払う必要があります。
そもそも、保証料とは何のための費用なのでしょうか?
簡単に言うと、「万が一住宅ローンの返済ができなくなった時に、住宅ローンの肩代わりを保証会社にしてもらうために払う費用」です。
費用の支払先は保証会社となります。
「万が一の場合は保証会社が立て替えてくれて、あとはチャラになる」なんて勘違いをしていませんか?
保証料には一括や分割などの支払い方法がありますが、決して安くはありません。(銀行によって違いますが、3000万円借り入れで一括支払いの場合60万円程度)
しかも、一時的に立て替えてくれるだけで、後日保証会社から立て替えた分の請求が来ます。
利用者側にとってはまったく意味のない費用です。(銀行にとってはとっても重要です。)
また、保証料0%でも事務手数料が数十万円ついていたり、金融機関によって様々な対応をしています。
詳細までよく確認するようにしましょう。
無理の無い計画を立てよう
「ローン破綻」という言葉は最近テレビなどのメディアで見かけます。
相当な高収入の人でもご自身の病気や親の介護など、突発的な出来事で「ローン破綻」に陥ることがあります。
まず、第一に支払う期限を「定年まで」としてみることはとても重要です。
それでも上記のような突発的なことが起こると、絶対ではありませんが、収入が途絶えることが確実な時期以上に長期の返済を組むのは如何なものかと思います。
安易に返済期間を延長すると、収入の不確実性が非常に高くなります。
資金繰りはローンを組んだ後もしっかりチェックして、予想と違う動きになったら、早めに対処して破綻を招かないようにしましょう。
確定申告を忘れずに!
住宅ローンをはじめ、不動産の売買には色々な減税があります。特に、不動産の売却、購入をした場合は忘れずに確定申告をしてください。
住宅ローン減税
住宅ローンに対し、10年間、所得税から控除を受けることができるという制度です。(平成31年6月までの時限立法)
所得税だけで控除しきれない場合には、住民税の一部が控除の対象となります。
なお、控除を受けるためには条件があります。
- ローンの契約者本人が住む住居であること
- 住宅の床面積が50m2以上であること
- 現行の耐震基準を満たしていること(中古住宅の場合)
などのほか、年収や借り入れ期間なども条件があります。
譲渡所得に関する控除
住宅の購入価格より売却価格が大きく、利益が出た場合に適用されます。
通常、この利益に対しては「譲渡所得」ですから所得税がかかりますが、所有期間、使用目的によって3000万円という大きな控除ができる制度があります。
買い替え時の譲渡損失の繰越控除
住宅の購入価格より売却価格が少なく、損失が出た場合に適用されます。
給与などの所得に対して損失分を控除することが出来る上、損失が大きければ(1年で控除し切れなかった場合)、3年間にわたり控除することができます。
このページのまとめ
簡単にこのページのポイントを書いてみました。
- 1、「住み替えローン」は売り、買いのタイミングが重要
- 2、将来のライフイベントをしっかり見ておこう
- 3、ローンの見積もりは「支払総額」で比較しよう
- 4、資金繰りは徹底的に。無理の無い計画を立てよう