知っておきたい相続8(不動産の相続)

「相続する遺産のほとんどが現金(預貯金)」の場合、よほど特殊なケースでなければ遺産の分配はそれほど揉めることもないでしょう。
理由は「分割するのが簡単」だからです。どんな割合でも登記なしで分割することができます。
しかし、「相続する遺産のほとんどが不動産」の場合、揉めるケースは格段に増えます。
さらに、相続する不動産(家)に同居している家族がいた場合、同居していない相続人との意見の違いは大きくなってしまいます。
このページでは、個別の事情はさておき、できるだけトラブルにならないようアドバイスをしたいと思います。
相続による不動産名義の変更期限
法律による相続不動産の名義変更期限はありません。
そもそも、不動産の登記は「第三者への所有権の対抗(主張)」が目的ですから、通常の売買においても「不動産の所有権移転登記」は義務がありません。
不動産登記をしない場合のデメリット
「不動産の所有権移転登記が義務ではない」というのはどういう意味なのでしょうか?
簡単にいうと、「国で所有権を明確にする制度を確立しているのだから、利用するかどうかは個人の自由」ということです。
制度を利用しなければ、権利は守られません。
不動産の売買、譲渡では「完全な所有権の移転」が求められます。言い換えれば、「購入者に所有権が完全に移転したことを客観的に証明できる」ことが求められているのです。
通常、売買のケースでも様々な書類を要求されますが、大きな目的の1つは「真の権利者は誰か?」を明確にすることです。
登記自体が義務でない以上、登記簿に記載されている人が「真の権利者」であるとは限りません。そこで、様々な公的書類を取得し、総合的に判断することで「真の所有者」を確定するのです。
不動産登記をしないと、「現状で売買ができない」だけでなく、将来の権利関係が複雑になって所有権の証明が時間が経つごとに難しくなってしまいます。
従って、専門家の手を借りないと証明ができなくなり、時間とコストが膨大になってしまいます。
よく、親子での不動産譲渡や、相続の際に「面倒だし、お金も掛かるから」と登記をしないままにしてしまう方もいらっしゃいますが、資産としての価値が下がってしまいます。
登記はしっかりとして「権利関係を明確に」しておきましょう。
相続による所有権移転の登記手続き
通常の譲渡との違いは基本的にありません。
ただし、通常の譲渡と違い「契約書」による権利移転ではありませんから、「権利関係が発生した証明」をしなければなりません。
今回の場合は「相続」が原因ですから
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本,除籍謄本等
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(もしくは有効な遺言書)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の住民票の写し
が必要となります。
相続の段階でやっておけば、他の手続きでも必要な書類ばかりです。
これを放置してしまうと、「権利関係」がどのように移転し、「真の権利者」を証明することが非常に難しくなります。
この登記はかなりスムーズに手続きが終了しますが、ここで登記を怠ると、将来、「有効な遺言書」(遺産分割協議書)が有効であったことまで証明しなければなりません。
もし、有効な遺言書(遺産分割協議書)を紛失してしまったら・・・。
恐ろしいですね。売却なんていつできることやら・・・・。
お勧めの相続方法
簡単なことではないことは承知しておりますが、不動産については
- 誰か1人が相続する
- 不動産は現金化して分配
もしくは
のどちらかをお勧めします。
「誰か1人では不公平!」、「長年住んでいた家を売るのは嫌!」など不動産の相続で揉める原因でもありますが、「共有状態」で所有権を持っていても何も出来ません。
言ってみれば「資産としての価値」があまりありません。
日本の法律は基本的に「一物一権主義」が基本で、「共有」はあまり好ましくない状態であると考えます。
「共有状態」であると保存行為(共有物の修理や不法占拠者への明け渡し請求など)以外は単独で出来なくなるなど、法律的に「権利の制限」が掛かってしまうのです。
不動産の共有状態の解消についてはこちらで詳しくご案内しています。
このページのまとめ
いかがでしたでしょうか?不動産の相続は、相続手続き自体が揉める大きな原因でもありますし、また、しっかりとした手続きを取らないと、将来、負の遺産となってしまいます。
専門家の助言を聞きながらしっかり手続きをしておきましょう。
簡単にこのページのポイントを書いてみました。
- 1、不動産の相続はシンプルな形で行おう
- 2、どんな相続方法であっても所有権移転登記はやっておこう
- 3、共有状態は資産価値を下げることを知ろう
- 4、手続きは専門家にやってもらおう