不動産と税金
税金の問題については、かなり体系的に勉強しないと理解が難しい分野です。色々な切り口で説明することができますが、不動産に絞って説明します。
このページの目次
課税対象となる原因
税金が課税される場面を3つに分類すると、下記の通りとなります。
場面 | 内容 |
---|---|
1、取得にかかる税金 | 印紙税 登録免許税 不動産取得税 (贈与税) (相続税) |
2、保有にかかる税金 | 固定資産税 都市計画税 |
3、譲渡(売却)にかかる税金 | 印紙税 所得税 住民税 |
不動産を購入した場合の「不動産取得税」はあるのに、譲渡(売却)した場合の「不動産売却税」は存在しません。つまり、譲渡して得たお金は給料と同じ「所得」になります。これを「譲渡所得」といいます。
不動産売却にかかる税金
売却代金-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得
ですが、簡単に言うと、
売却代金-(不動産の購入したときの代金+売却するときにかかった費用)=譲渡所得
になります。
分かりにくいので、さらに説明します。
取得費は、土地建物の購入代金、建築代金、購入の仲介手数料の他リフォームの設備費や改良費など取得に要した費用を合計した金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額となります。
また譲渡費用は、譲渡のために直接要した費用をいいます。
-
①土地や建物を売るために支払った仲介手数料など
②登記若しくは登録に要する費用
③印紙税で売主が負担したもの
④貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
⑤土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用、建物の損失額
⑥測量に要した費用
⑦売る契約をした後に、他へ高い価額で売却するために(更に有利な条件で売るため)最初の契約者に支払った違約金
⑧借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
⑨その他その資産の譲渡価額を増加させるためその資産の維持や管理のためにかかった費用
が費用として算入できます。
したがって、居住期間に修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用、売った代金の取立てのための費用などは譲渡費用になりません。
こうして計算した結果(譲渡所得)に対して所得税と住民税がかかります。そのため、売却して損失が出るなら課税されません。
譲渡益が出ていても、損失の場合にもメリットとなる特例があります。
しかし、いずれも時限立法(期限がある)であり、連年適用の制限や適用条件がいくつもあります。
税金のプロでない皆様が必死に勉強するのはあまり効率的でないので、自分のケースで各特例が適用になるのか不動産業者に質問してください。
ただし、税理士法で税理士以外の人が個別の税金に関する指導をすることは出来ませんので、あくまで情報提供となると思います。
1:売却のみをする場合
所有期間には関係なく3,000万円の特別控除があり、所有期間によって税率が変わります。税率は「軽減税率の特例」の税率を記載しています。
下表は平成29年度現在の情報です。上記のように適用条件などは非常に細かいので、皆様のケースで適用になるかは税務署、税理士、または不動産業者にお問い合わせください。
上の図表は下からダウンロードできます。
売却のみ行った場合の譲渡所得のポイント
2:特定のマイホームを買い換えたときの特例
売却した資産が
- 所有期間 10年超
- 居住期間 10年以上
- 1億円以下の居住用の財産(店舗などではない)
であって、買い換え資産が
- 家屋の床面積が50㎡以上、敷地の面積は500㎡以下
- 買換え資産を取得した日から譲渡年の翌年12月31日までに取得。譲渡年の翌年に取得したときは、譲渡年の翌々年12月31日までに取得。
- 中古対価住宅は新築後25年以内又は地区年数にかかわらず、新耐震基準適合対価建築物
- 居住用財産
である場合には、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます(譲渡益が非課税となるわけではありません。)
この特例は上述した「売却のみする場合」の3000万円の特別控除+軽減税率の特例とのどちらかを選択することとなります。
確定申告とは
税金の話はとてもとっつきにくく、本を読んでもなかなか頭に入ってきませんよね。
しかし、確定申告はお得な情報がいっぱいあります。是非勉強しましょう。
確定申告をする人、しない人
確定申告は1月1日から12月31日までの所得について翌年の2月16日から3月15日までに申告し源泉徴収などと清算する(確定する)制度です。
確定申告をする人は下記のような人です。
- 給与収入が2,000万円を超える場合
- 不動産収入や配当収入、年金収入など副収入がある場合で、その副収入に対する所得が20万円を超える場合
- 2つ以上の会社より給与を受けている方
- 医療費控除・雑損控除などを受ける場合
- 住宅ローン控除を初めて受ける場合(2年目以降は年末調整で可能)
- 年の途中で退職して年末までに再就職していなくて、年末調整を受けられない場合
また、確定申告をしなくてもよい人は下記のような人です。
- 会社員(年末調整で精算済みで、確定申告による控除等の必要がない人)
- 専業主婦等所得がない人
- 所得が少ない人(所得控除の額の合計額が所得額より多い人)
- 年金収入額が400万円以下で、かつ、年金所得金額以外の所得金額が20万円以下の人
ここで注意しなければならないのは、「しなければならない人」です。
不動産で言えば、住宅ローン控除はもちろん、「居住用財産の3千万円特別控除」、「軽減税率の特例」なども確定申告で申告します。
「控除を受ける人」は申告しないと事務所が教えてくれるわけではないので、払いっぱなしになってしまいます。
全部のことは書けないので、ここでは不動産の話のみにいたします。
不動産の売却については、「課税されないことが多い」と聞いたことがあるでしょうか?答えは「確定申告をすれば」の条件付きです。
日本の税法上、税金は「申告」するのが基本です。
一般的に、会社の給与は支払前に会社が徴収して(源泉徴収)、12月に年末調整を行います。この年末調整こそ確定申告の簡易な方法なのです。
基本的に1社に勤務していれば収入は1ヶ所。源泉徴収と現実の給与の差を精算すれば完了します。
はっきり言って、日本国民全員に確定申告されたら税務署は処理できません。源泉徴収義務を給与支払者に義務付けし、年末調整で確定申告に代替できるようになっているのです。
ということは・・・。
税務上、マンション売却にかかる税金がゼロになるとしても、実務としてマンション売却後に確定申告をしないと減税措置や特別控除を受けられなくなります。売却した年度分の確定申告は忘れずに行いましょう。
マンション売却の消費税
マンション売却ばかり調べていると、あまり消費税についての説明はありません。
一般論として、土地は消費税は非課税。建物は課税です。しかし、個人間の売買には消費税はかかりません。
国税庁の規定では、消費税の課税の対象は「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」ですので、個人には課税されません。
不動産業者は関わっていますが、あくまで仲介です。売買契約は個人から売却されているのです。
ここで1つの疑問が・・・・
では新築のマンションを業者から購入すると・・・・
マンションは土地部分の権利が少ないので、ほとんど建物。どっかり消費税がかかっています。